のほほんとひととき



蝶の舞 春の舞


赤紫の細長い糸を纏って蝶が舞う
さらっと流れる涼風の様に蝶が舞う

不規則な軌道の上を小さな大きな弧を描き
美麗にひらひらと舞う

蝶は羽を地平線に沿って大きく開き
一つ一つ軽快なステップを空に踏みながら
右へ左へ
天へ地へ
北極から南極へ
赤道も一回り

不規則な軌道の上を小さな大きな弧を描き
美麗にひらひらと舞う

水晶のように透き通ったその目をうっすらと開き
自分の軌跡を後ろ目で眺めながら
前へ後ろへ
くるりと回り
過去へ未来へ
今日から明日へ

きりっとしたその真っ赤な唇からは
時折微かに喘ぎが漏れる
その吐息は花々に喜びを与え
寝ていた春を静かに起こし始める

涼風が舞う
蝶が舞う

赤紫の細長い糸を纏って蝶が舞う
さらっと流れる涼風の様に蝶が舞う

不規則な小さな大きな軌道は重ね重なり一本の大きな弧を描く

何処へいくの？

舞の行き先は舞にしかわからないわ

花々に問われた蝶は
一瞬振り向きそう答え
微かに笑みを携えて舞い続ける

春風があわてる様に蝶を追いかける
穏やかな追い風ふと気づいた蝶は
いたずらっぽく微かに笑みを携えて舞い続ける

蝶が舞う
涼風が舞う

蝶が舞う
蝶の軌道を春が追う

蝶が舞う
春が舞う

蝶が舞うから
春が舞う

蝶の舞　春の舞