人生


トンネル


寒い　寒い　寒い
暗い　暗い　トンネルの中をもう幾日も歩きつづけていた

寒い　寒い　寒い
もう何日も食べていない
どこへ向かっているのかも分からない

出口はあるのだろうか？
それすらもわからず　幾日も　幾日も歩き続けていた

寒い　寒い　寒い
ひゅー　ひゅー　と　凍てつくような風が体を殴る
まるでせせら笑っているかのように

出口はあるのだろうか？　辿り着けるのだろうか？
出口には何があるのだろうか？　いつ着くのだろうか？
寒い　寒い　寒い

歩き続けた
ひたすら歩き続けた
幾日も歩き続けた
出口は見えない
目の前には暗闇ばかり
寒い　寒い　寒い
寒い　寒い　寒い

ふと　声が耳の横を通りかかった
かすかな声

辺りを見回す
暗闇ばかり

また　声が耳をくすぐる

ここだよ　ここだよ

後ろを振り返る

- なんだ　簡単なことだったんだ

光が見える
暖かい光が見える
優しい風が体を包む

見えてなかっただけなんだ
気づいてなかっただけなんだ

声を聞いてごらんよ
前だけ見てちゃいけないよ　暗闇だけを見ててはいけないよ

声を聞いてごらんよ
暖かい光は　こんな近くにあったんだよ